1億円以上の資産を持つ「億り人」の多くは、リスクマネジメントを心がけ、大きな損失を出さないようにしながら投資を続け、資産を殖やしている。30代の専業FXトレーダー・浅川典男氏(仮名)もその1人だった。しかし、そんな彼も突然の「核戦争危機」という予測不能な事態により、1600万円の大損失を食らったという。
「2017年は何度も金正恩がミサイルを撃っていますが、マーケットは“またか”とほとんど反応することはありませんでした。ただ、今回は違いました……」(浅川氏、以下同)
第1金曜日の夜、アメリカの雇用統計が発表されるのに合わせ、ほぼ毎月集うトレーダーたちがいる。8月4日金曜日も、東京都内のバーで数人が集まっていた。彼らは、お互いの素性をあまり話さない。世間話もしない。ひたすらチャートとにらめっこし、自身の相場観とポジションについて語るだけだ。浅川氏も、その夜、同会に参加していた。
「8月4日に発表された雇用統計は、予想よりかなり良い数字が出ました。アメリカの景気回復の力強さが確認され、一気にドル高円安が進みました。1ドル=110円前後から1ドル111円あたりまで急伸したのです。