アルバイトで年金分まで稼ごうとすると、時給1000円で一日10時間。これを月に20日間やってようやく月20万円である。しかも、年金控除は受けられないので手取りはさらに減る。
老体にムチ打って週5日のフルタイム体制で働こうとしても、仕事の選択肢は限られてくる。
「人手不足に苦しむ介護職などは門をたたけば採用してもらえるでしょう」(豊田氏)とはいっても、介護業界には低賃金という構造問題が横たわっているし、そもそも“74歳まで介護職で働き続ける”など、もはやブラックジョークの世界だ。
どうすればいいのか。豊田氏は正規雇用での再就職に有利な「資格」を取得することが重要だと言う。ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士、調理師などの資格を持っておくと、状況は違ってくるのだ。
「シニア世代でも正社員を狙えますし、月額20万円以上の収入も見込めるようになるでしょう。そうした資格については雇用保険の中にある教育訓練給付制度を使えば、取得にかかった費用の一部が返ってくる。退職する前に準備を始めておくのが基本です。60~65歳の再雇用期間でも遅くはない。こうした制度を使って資格を取得し、第2の仕事人生に役立てるべきです」(豊田氏)
ついに“定年退職後に就職の準備をしなければいけない”という時代がやってくるのである。
※週刊ポスト2017年9月8日号