「もう一度、婦人服を店の顔にしたい」
同売り場の復活を支えた、阪急阪神百貨店第1店舗グループ第一婦人服商品統括部長の佃尚明氏が当時を振り返る。
「社内でも婦人服は縮小すべきだとか、他の売り場を拡大したほうがいいという声もありました。ですが、『もう一度、婦人服を店の顔にしたい』という意見も多く、社長主導のもと、婦人ファッション戦略会議が発足しました。
その会議で議論を重ねるうちに『他店との違いが明確でない』という課題に辿り着き、3階、4階の婦人服売り場の大改装に着手しました」
『1秒でわかる!小売業界ハンドブック』(東洋経済新報社)の著者で、「商人舎」代表取締役の結城義晴氏も、現状の百貨店の問題点を指摘する。
「今、世界中どこの百貨店でもルイ・ヴィトンやエルメスといったステータスブランドが並んでいる。百貨店にとってはある程度の集客が期待できるため、欠かせないものなのですが、どのお店も似たようなものになってしまった」
そんななか、阪急が行った改革は、画一的になっている百貨店業界の常識を覆す斬新なものだった。