こうした政策と増益要因を踏まえ中間期の企業業績を総括すれば、「供給側改革によって、エネルギー、素材、化学工業製品などの川上製品の供給が絞られたところに、インフラ投資拡大政策によって需要が増加したため、価格が上昇した。資本財の需要も増加した。そのほか、モバイルインターネット革命によって中国の電子部品の生産が構造的に増えた」といったところである。
下期の見通しが気になるところだが、当局は引き続き、生産過剰産業や環境対策の遅れた企業の淘汰を加速する方針を示している。
国家統計局は9日、8月の物価統計を発表したが、消費者物価指数(CPI)は1.8%上昇で、前月と比べ0.4ポイント上昇、本土市場コンセンサスを0.2ポイント上回った。また、工業品出荷価格指数(PPI)は6.3%上昇で、前月と比べ0.8ポイント上昇、市場コンセンサスと比べ0.6ポイント上回った。物価上昇、特にPPIの上昇は川上製品の需給が逼迫していることを示しており、これは供給側改革の加速が要因と考えられる。政府方針通りであり、引き続き、エネルギー、鉄鋼、建材、非鉄金属といったセクターは好業績が続きそうだ。
建設会社の受注残を見ると、上期よりも下期の方が業績はよさそうだ。鉄道を中心に、道路、都市交通システム、橋梁、トンネルなどのインフラやビルマンションなどの建設工事を請け負う中国中鉄(00390)は11.2%増収、41.1%増益であったが、新規契約額を見ると、全体で34.5%増加している。主力のインフラ投資は32.5%増、道路は149.8%増、地下鉄など市政府関連は36.2%増、鉄道は27.0%減、不動産開発は16.5%増などとなっている。