“ウォール街の巨人”になびく市場
金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏が解説する。
「ブラックロックが“買い”と判断したことで、追随するファンドが増えると思われます。金価格上昇を加速させる大きなインパクトとなるのは間違いない」
金価格の国際指標であるニューヨーク金先物相場を見ると、年初から約15%上昇。東京金先物相場での年初からの上昇率も約7%と、日経平均株価の上昇率よりはるかに高い。ここまでの高値にもかかわらず、ブラックロックはなぜ「まだ上がる」と判断するのか。
注目すべきは、今後の金価格上昇が予想される要因として北朝鮮情勢を挙げていないことだ。同氏は〈金価格は金利と逆相関関係にある〉と言及した上で、〈米国債の実質金利が横ばいであること〉を挙げる。コモディティーインテリジェンスの近藤雅世・代表がその意味を解説する。
「低金利では国債保有のメリットがないため、資金がより安定性の高い金市場に逃げていく。ブラックロックは、現在の米国経済を観察し、低金利状況がまだまだ続くと見ているのです。事実、市場関係者の間では、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が8月25日の講演で利上げに言及しなかったことや、9月1日に発表された米雇用統計の数値が予想より改善されていなかったことから、9月20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが行なわれる可能性はほぼなくなったと見られている」