ケステリッチ氏は「トランプ政権の経済政策の不透明感拡大」にも言及する。
〈金価格は米政権の不透明感が拡大すると上昇するという相関関係が大きく、現在のトランプ政権の混迷が金価格を押し上げている〉
〈投資家たちは米政権が財政改革と大規模な公共投資を実施し、景気浮揚すると期待していた。しかしいずれの実現性も薄い〉
前出・近藤氏が指摘する。
「NYダウ平均株価は、トランプ政権の掲げた政策への期待から、過去最高値を更新する上昇が続いてきた。だが、一向に実現できないため米国株はいつ急落してもおかしくないとブラックロックは見ている。そのリスクが株式から金への資金移動をさらに加速させると考えられます」
金価格市場最高値を記録した2011年の再来か
もうひとつのカギは「債務上限引き上げ法案」だ。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツを率いる「ヘッジファンドの帝王」ことレイ・ダリオ氏も、金買いをこう推奨した。
〈(米議会が債務上限引き上げに失敗して)米政府が債務不履行に陥り一部の連邦政府機関が閉鎖されれば、政治への信頼が失墜するリスクがある〉
〈実際に悪化したなら金を買うべき〉