前出・亀井氏が解説する。
「米国では、野放図な債務膨張を防ぐため、法律で国債借入額の上限を定め、議会が監視する仕組みを設けている。その上限は毎年のように引き上げられてきた。現在、米議会ではハリケーン被害の復旧に向け、緊急避難的に3か月限定の引き上げを認める方向になっていますが、12月には債務上限引き上げ問題が再燃する。与党・共和党の議席数が法案成立に足りない中、『メキシコ国境の壁』を関連費用に盛り込もうとするなど批判の多いトランプ大統領が与野党をまとめ上げるのは至難の業です」
そうなると米国債のデフォルト(債務不履行)という危機が待ち受けている。
「オバマ政権下の2011年8月にも、共和党の反対により今回懸念されるのと同様の債務上限引き上げ問題が生じた。デフォルトこそ直前で免れたが、格付け会社S&Pは史上初めて米国債を格下げ。結果、国債と株価は暴落し、一方で金価格は史上最高値(1トロイオンス=1923ドル)まで急騰したのです。すでにブラックロックは金への運用額を大幅に増やしたのでしょう。他の投資家たちの一歩も二歩も先を動いている」(同前)
有事は北朝鮮ではなく米国内にあるからこそ、「金は上がる」と見ているのだ。
※週刊ポスト2017年9月22日号