8月末の月例経済報告を受けて茂木敏充・経済再生担当相は会見で、「(アベノミクスが)いざなぎ景気と並ぶ可能性は高い」と誇らしげにアピールした。
安倍政権が発足した2012年12月に始まった景気拡大期間が、この9月で57か月に達し、高度経済成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月~1970年7月)と並ぶというのだ。
しかし、実態は高度成長期とは全く違う。「いざなぎ景気」では、名目GNP(国民総生産)が5年で2倍以上になり、国民に3C(自動車、カラーテレビ、クーラー)が普及するなど、国民生活は大きく上向いた。アベノミクスではどうか。賃金・雇用問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏がいう。
「安倍政権下の経済成長で増えたのは大企業の利益と内部留保で、賃上げの数字は低調なまま。大多数のサラリーマンにとっては実感を伴わない景気回復です」
働く人の給料は逆にどんどん下げられようとしている。溝上氏が続ける。