アベノミクスで断行された前例なき政策の代表格が、「1本目の矢」である異次元金融緩和だ。
黒田東彦・日銀総裁のもと、中央銀行が国債購入などを通じて市中に大量のマネーを供給し、デフレを脱却しての「物価上昇率2%」を目指してきた。黒田日銀が大規模緩和策を発表するたびに、市場で株高が進むことが“黒田バズーカ”と持て囃された。
しかし、2016年2月のマイナス金利導入時は、市場は下落に転じた。市場関係者が黒田バズーカという言葉を使わなくなって久しい。
〈緩和のプラス効果が副作用を上回ったのは2014年まで。その後は追加効果がほぼなくなり、副作用だけが積み上がっている〉
8月26日付の朝日新聞朝刊に掲載されたインタビューで手厳しく“事実”を指摘したのは、7月まで日銀審議委員を務めていた木内登英氏(現・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)だ。