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日本経済が陥った極めて特異な状況 世界唯一の「低欲望社会」に

 だが、人生を豊かにするためには、最初からお金を持っている人以外は、「借り」から入らなければならない。欲望を満たすためにお金を借り、それを返すために頑張って働く。そうしないと、経済は膨らまない。今の日本で物価が上がらないのも、経済が日本人の「低欲望」を前提に再配列されたからである。

 しかも、個人金融資産1800兆円の60%を60歳以上の高齢者(4290万人)が保有しているとされる。彼らは暮らしに余裕があっても「漠たる将来の不安」から、お金を使わずに貯め続けている。

 この極めて特異な状況を変えるためには、政府や産業界が、漠たる将来の不安を解消して次なる欲望を“見える化“しなければならない。マクロ経済は「ミクロ経済の集積体」だから、個人個人の心理を「人生を楽しみ、豊かにするためにお金を使おう」という方向に動かせば、今は銀行などに眠っているお金が世の中に出回り、消費が拡大して景気はおのずと良くなるはずだ。

※SAPIO2017年10月号

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