内閣府が9月8日に公表した4-6月期国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質の年換算で前期比2.5%増となり、4.0%増だった8月の速報値から大きく下振れ。日本経済の行方に不安が広がっている。そうした中で、経済アナリストの森永卓郎氏は、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定とアベノミクスの金融政策によって膨らみ続けた都心の「不動産バブル」が、意外に早く終焉を迎える可能性が高まったと警鐘を鳴らす。
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国税庁が発表した2017年分の路線価格を見ると、特に東京都心部はまさに不動産バブルのピークの様相を呈している。銀座5丁目中央通りの「鳩居堂」前は、1平方メートル当たりの路線価格が前年比26%増の4032万円となり、過去最高だった前のバブル崩壊直後(1992年)の3650万円を上回った。
それでなくても、都心ウォーターフロントのタワーマンションの販売価格が、坪単価で500万円もするというのはどう見ても過熱し過ぎだろう。
膨らみ過ぎたバブルは必ず弾ける。これまで私は、いまの不動産バブルは2020年の東京オリンピック前、オリンピック関連の建設工事が終わる2019年までには弾けるといってきた。しかし、鳩居堂前の路線価格が過去最高を上回ったことや都心不動産の価格高騰ぶりを見ると、すでにバブルは弾ける寸前まで膨れ上がっている。そこからいえるのは、バブル崩壊の時期は早まる可能性が高くなった、ということだ。