もちろん、それでも安倍内閣が憲法改正に必要な国民投票を乗り切れる支持率には回復していない。だが、安倍総理には打てる秘策がある。それは、2019年10月から予定されている消費税率の“引き上げ凍結”、あるいは“引き下げ”だ。
安倍総理は8月に出演したテレビ番組で、消費税率10%への引き上げを「予定通り行なっていく考えだ」と明言している。だが、その発言をそのまま受け取ることはできない。過去2回の消費税率引き上げ延期の際にも、直前まで同じセリフを述べていたからだ。
それでなくても、2014年4月の消費税率引き上げが経済政策として大失敗だったことは、3年経った段階での様々な分析で明確になっている。さらに、日本経済をガタガタにする不動産バブル崩壊の危機が目前にあることを考えれば、憲法改正ができる支持率の回復を狙って、安倍総理が消費税率の凍結、あるいは引き下げを決断する可能性は非常に高いと考えられる。
財務省に逆風が吹けば消費増税凍結の現実味は高まる
一方、いまポスト安倍として名前が挙がって政治家たちが総理の座に就くことは、日本経済に大きなリスクとなる。なぜなら、彼らはすべて財務省寄りの政治家で、誰が総理になったとしても既定路線通りに消費税率引き上げが断行されるのは間違いないと思われるからだ。つまり、安倍政権が継続した方が、日本経済の視界は明るいといえるのだ。
もちろん、凍結や引き下げを財務省が許すはずはないと思う人は多いだろう。しかし、これから財務省に大きな逆風が吹く可能性がある。それが、いったん騒動が鎮静化したかに見える森友学園問題だ。