そして大学入学後にバイトを始めると、MさんがCDを買うペースはさらに早くなり、就職後にはそのペースは一気に加速する。MさんのCDの買い方は、マニアならではのものだ。
「まず、月刊のヘビーメタル専門誌のアルバムレビューを読み、気に入ったものはすべて買います。それが毎月5~10枚ぐらいです。そしてその中で気に入ったものがあったら、そのバンドのCDをすべて買います。そしてすべて揃ったら、今後はそのバンドのメンバーがかつて在籍していたバンド、そのバンドを抜けたメンバーが新たに結成したバンド、そのバンドのメンバーがゲスト参加したバンド……といった具合に、周辺のバンドをどんどん買っていきます」
そんな生活をすでに20年近く続けているMさん。月にいくらCDにお金を使い、いったい何枚CDを持っているのか?
「たぶん月に4万~5万円は使っていると思います。CDの枚数は数えたことはありませんが、160GBのiPod Classicに片っ端から音源を入れてみたところ、3万曲ぐらい入れて容量が満杯になり、もう1つ買っても入り切らなかったので、少なくとも6万曲以上あります。アルバム1枚が10曲としても、6000枚以上はあることになります」
仮に6000枚とすると、1枚2000円として合計は1200万円。しかしMさんには、ある“計算”もあるという。
「今まで一度も売ったことはありませんが、CDはいざとなれば売ることができます。ハードロックやヘビーメタルを聞くファンは、人数が少ない分、マニアックな人が多いので、中古市場はあまり値崩れしません。所有しているCDの中には、とっくに廃盤になっているものもあって、買値より遥かに高く買い取ってもらえるものもあります。保存状態には気をつけているので、もし全部売ったら、これまで投じた額の2割から3割ぐらいは回収できると思います」
ちなみに「数千枚持っているCDを全部聴いたことがあるのか?」と尋ねると、「必ず1度は聴いている」とのこと。ただし、「2度と聴いていないCDは山ほどある」そうだ。