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年金控除縮小へ 高齢者には所得税・住民税の大増税

自民党の税制調査会の額賀福志郎小委員長と「課税強化」発言の宮沢洋一会長(写真:時事通信フォト)

自民党の税制調査会の額賀福志郎小委員長と「課税強化」発言の宮沢洋一会長(写真:時事通信フォト)

 この10月、年金制度は大きな転換点を迎える。小泉政権の2004年から13年間、毎年引き上げられてきた年金保険料率が上限に達し、10月からの値上げで給料の18.3%に固定される。政府はこれ以上、保険料は上げずに、現役時代の収入の5割以上の年金を支払うと約束している。もはや国民の誰一人として信じていない言葉でいえば、「100年安心年金」の完成だ。

 それを待っていたように、宮沢洋一・自民党税制調査会長から“年金増税論”が飛び出した。

 新聞各社の共同インタビューに、「高額な年金をもらっている人に今と同じ控除をする必要があるか」(日経新聞、9月8日付)と語り、今秋から始まる税制改正の論議で公的年金等控除(※注)を見直しに動く考えを示したのだ。

【※注:国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの公的年金の受給者に適用される控除で、収入金額から基礎控除と公的年金等控除を差し引いた金額が課税対象となる。控除額は65歳未満か、65歳以上かによって変わる。年金の収入額によっても控除額は異なる】

 年金受給者は最低でも年間120万円(65歳以上の場合)の所得控除を受けられる。そのぶん、同じ額を給料として受け取るよりも、税負担は少なく済む。この公的年金等控除が縮小・廃止されると、高齢者には所得税・住民税の大増税になる。宮沢氏が持ち出した「控除見直し」とは、「年金増税」に他ならないのだ。そのうえ、年金から天引きされる国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)や介護保険料もハネ上がる。

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