9月13日、約10万人の年金受給者に、本来支払うべき年金およそ600億円が、「事務的なミス」によって払われていなかったことが発覚した。未払い金額は年金制度が始まって以来、史上最大規模だ。今回、未払いがわかったのは、聞き慣れない「振替加算」という“特別な年金”だった。
現役のサラリーマンならば、妻が専業主婦だったり、子供がいたりすると、会社から『扶養手当』を受け取る。引退して急にそれがなくなると教育費など家計に困る人も出てくるため、扶養手当の代わりに、国から年金に上乗せして受け取れるのが『加給年金』や『振替加算』と呼ばれる特殊な年金なのだ。社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。
「加給年金も振替加算も自動的に受け取れるものではありません。自分から届け出をすることが必要です」
過去に20年以上、サラリーマンをやってきた夫が65才になったとき、65才より年下の妻や、高校を卒業していない子供がいる場合、1人につき年間22万2300円が、夫の年金に上乗せされるのが「加給年金」の仕組みだ。
さらに、妻が83才以下であれば、「特別加算」が年間3万3100~16万5500円支払われる。金額は妻が生まれた年齢によって変わり、若いほど金額が大きい。
妻1人いるだけで最大、年間約40万円を受け取ることになる。