日経平均株価が2万円台を回復するなか、東京証券取引所に上場するJ-REIT(不動産投資信託。以下、Jリート)相場は低迷が続いている。Jリートは、投資家から資金を集めて不動産を運用しその収益を分配する金融商品だが、不動産市況が悪くないにもかかわらずなぜ軟調な展開が続いているのか。アイビー総研代表の関大介氏が解説する。
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2017年1月初旬に1860ポイント台だった東証REIT指数は、その後ずるずると下落していき、同7月14日には年初来安値1620.38ポイントをつけた。7月31日に1700ポイントを回復したものの、9月現在は1650ポイント台~1670ポイント台前半で軟調が続いている。日経平均株価が終値で2万299円の年初来高値をつけた9月19日も、東証REIT指数の終値は1671.49ポイントにとどまった。
ファンダメンタルズ(基礎的条件)の面では、賃貸市場も堅調であり、全体的な市況も決して悪くない。Jリートの業績をみても、増配基調が続く銘柄も目立つ。日本人にとっては、為替の影響を受けず、利回りの高い商品として、もっと注目されてもよい環境にある。にもかかわらず、下落基調が続いているのはなぜか。私はその要因の一つとして、最近の金融庁のスタンスが影響していると考えている。金融庁は「顧客本位」の金融行政を打ち出し、特にこれまで人気の高かった毎月分配型投資信託について、資産形成に不向きだとして問題視している。
Jリート市場での大口の投資家には主に、金融機関(日銀は除く)、投資信託、外国人投資家があるが、売買動向はそれぞれ異なる傾向を持つ。