日銀による金融緩和が始まって以降、Jリートを安定的に買っていたのが投資信託。2013年と2015年は最大の買い手、2014年は第2位の買い手だった。Jリート市場は株式市場ほどではないが、外国人投資家の売買比率が約4割と高く、世界的にリスク回避の動きが強まると、業績がよくても、株式と同じようにJリートは大きく売られてしまう。
これまでは、そのような海外要因による下落で市場が荒れても、安定的な買い越し主体となってきたのが投資信託だった。ところが、金融庁のスタンスの変化から、Jリートを組み入れている毎月分配型投資信託が消極的にならざるを得ず、2017年4月以降、投資信託は売り越しが続いている。つまり、市場が下落した局面でもJリートを買っていた大口投資家の不在が、現在の軟調を招いているといってよい。
現在の金融庁の姿勢は、外国人投資家にとっても、Jリートを買いにくい環境をつくっている。外国人投資家のJリート市場に対するスタンスは非常にわかりやすく、「金融当局には逆らうな」が鉄則。追加金融緩和など追い風が吹けば旺盛な買いを入れ、追い風がやんだり、風向きが変われば様子見や売りに転じる。2017年後半は、外国人投資家がJリートを積極的に買ってくるとは考えにくい。今後、海外情勢の影響で大きく売られる局面もあるだろう。
【プロフィール】関大介(せき・だいすけ):アイビー総研代表。不動産会社財務部、シンクタンクなどを経て、2007年、不動産証券化コンサルティングと情報提供を行なうアイビー総研を設立、現在に至る。J-REITポータルサイト「JAPAN-REIT.com」(http://www.japan-reit.com/)の運営責任者も務める。