人生で最も大きい買い物と言われる不動産。では、お金のプロであるファイナンシャル・プランナーは、どんな選択をしているのか。FPの清水斐氏の場合、「築年数」など一般的に気にされがちな物差しを横に置いたことで、「いい住まい」を手に入れたようだ。清水氏が自らのケースを紹介する。
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ファイナンシャル・プランナーの私に相談にいらっしゃる30代のお客様の場合、必ずといって良いほど住宅購入が絡んできます。そこで聞かれることは「アドバイスする側のFPはどういう選択をしたの?」ということです。そこで私自身を例に「あるFPのケース」をご紹介します。
私たち夫婦は3年前、31歳の時に中古住宅を購入しています。当時の環境は、以下のようなものでした。
・結婚2年目の賃貸暮らし
・長野県に住み始めて夫5年目、妻(私)2年目
・お互い実家からは遠く、長野県にはそもそも縁のない移住者
購入する、と検討を始めたのは「リタイアまではこの地域に住む」と決めたからです。基本的に今後、不動産は余る傾向にあります。資産として売ったり貸したりを想定するよりも自分が住み潰すくらいの心積もりがないと購入はしないほうが良いと思っています。私たちの場合は住んでいる地域での生活に不満がなく、仕事の環境としてもきっと65歳くらいまで続けて大きな転勤はない、ということが前提でした。
将来的な大規模リフォームも視野
買うとなればポイントとなるのは「どんな住まい(間取り)か」「どこにするか(場所)の2点です。「どんな住まいか」は、家族構成や今後の暮らし方の意向がしっかりと固まっていないと難しいと思います。私たちの場合、暮らし方はまだしも家族構成が定まっていませんでした。将来は子供がいる生活なのか、何人で暮らすのか、この時点で全く不明です。そうならば、と今回は中古住宅を購入することにしました。建物は将来的に建て替えまたは大規模リフォームするから、とりあえず10年くらい住めれば良いという条件です。感覚としては「家を買うというより、自分たちの生活に一番良い土地を買う」ための家探しとなりました。