「安倍一強」が続くのか、小池百合子・東京都知事率いる「希望の党」が躍進するのか――10月22日の投開票日に向けて混戦ムードが高まる衆院総選挙だが、9月25日に安倍晋三首相が解散・総選挙の方針を発表して以降、株式市場は堅調に推移し、日経平均株価も2万円台を超えて年初来高値を更新している。今回の解散総選挙を市場はどう見ているのか。「ひふみ投信」の運用責任者である藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者)が解説する。
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今回の総選挙は希望の党の誕生が大きな波乱要因となり、いかにも激戦のように映るが、実際には「保守vs保守」の構図であり、結局は自民党が勝っても希望の党が勝ってもほぼ同じ、とマーケットは見ているようだ。いずれにしろ、反市場的な政権が誕生する見込みは少ないし、いきなりアベノミクス的な経済政策の方針が変わることもなく、選挙後に経済情勢が大きく崩れるようなリスクは少ない、というのが海外勢を含めたマーケットの見方といえる。
総選挙を経てどんな社会になるかはさておき、株式市場にとっては「安心感」が何よりも重要であり、そう考えていくと、自民と希望、どちらが政権を握ろうともマーケット的には波乱が少ない展開が予想される。実際、株式市場は好感しており、日経平均株価が衆院解散・総選挙が表面化して以降、2万円台を回復して年初来高値を更新しているのが何よりの証拠だろう。
そして、ここからはあくまで私の個人的な見方だが、今回の「自民vs希望」による選挙戦は安倍首相と小池都知事の“出来レース”ととらえることもできる。どちらがどれだけの議席を獲得するかは開票結果を待つほかないが、保守という同根がある以上、自民と希望が連立を組む可能性も否定できない。