衣類や生活雑貨を販売する無印良品は、セーターやショーツ、レギンスパンツなど、秋冬物の衣類雑貨113品目の価格を見直した。家具量販店のイケアは「今期、総計886商品をお求めやすい価格にすることで、イケアの商品を知っていただくきっかけになればと思っています」(イケア・ジャパン広報)と、ソファなどが平均22%も安くなる。
生活が「苦しい」と回答した世帯は56.5%
普段からお手頃価格の大手スーパーから日常使いの雑貨や家具まで、安くなるのは私たち消費者にとってはうれしい限り。でも、いったいどうしてこんな“値下げのドミノ”が?
「値下げが止まらない背景には、物が売れない消費の低迷がある」とファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが指摘する。
「消費税が8%に引き上げられた2014年以降、原材料や原油価格の高騰もあいまって乳製品やパン、パスタ、トイレットペーパーといった生活必需品から外食のメニューまで、しばらく物価上昇の傾向が続きました。しかし多くの世帯では、収入は一向に上がる気配はないし、銀行に預金してもゼロ金利でお金はまったく増えません。そうした状況で、家計をしっかり引き締めていこうという消費者の意識が強くなり、節約志向が定着しています」
実際、総務省の2016年度「家計調査」によると、2人以上世帯の消費支出は2015年に比べて1.7%もマイナスとなった。消費税が8%にアップした2014年から3年連続で減少している。
一方で厚生労働省の2016年度「国民生活基礎調査」では、生活が「苦しい」と回答した世帯が56.5%にも及んでいる。生活が苦しいと支出を減らすのは当然のこと。丸山さんは「今回の値下げは、なるべくしてなったもの」とみている。
「消費者のねばり勝ちというと変ですが、生活が苦しければ必要なもの以外はあるもので済ませようとするし、安く買おうとします。高ければ売れず、当然小売店の売り上げが伸びないので、消費者の節約志向に対応した値下げだと感じます」
※女性セブン2017年10月19日号