「家を買おうか」──それは人生の一大決心だ。いざ家を探し始めると、「駅から近いほうがいい」「できれば築浅で」「最新のシステムキッチンが欲しい」などと様々な条件が浮かんでくる。自らも3年前に家を購入したファイナンシャル・プランナー(FP)の清水斐氏が、それらと「予算」の折り合いの付け方をアドバイスする。
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マネーポストWEBに前回寄稿した記事(賢い不動産探し お金のプロ、FPはどんな家を買っているのか)で、FPの住宅購入の例として、私の住宅購入の体験談と考え方をお伝えしました。長野県に住む私(夫婦2人と猫で住んでいます)の場合、「私が東京に行く機会が多いから新幹線の駅に近いこと」が条件でした。しかし、「将来どんな家族構成になるかわからないから、築年数が経っている中古住宅でもよい」と考えたことで、選択肢の幅が広がり、予算内でいい買い物ができたと考えています。
「いま、必要なこと(条件)」を絞り、その他の条件は最低限に抑えること、住宅に求める条件はタイミングによって異なることから段階的に理想に近づけていく──という考え方です。中古住宅を買って、家族構成やライフスタイルの変化に伴い、リフォームしたり立て替えたりしていけばいいと思ったのです。今回はそれを踏まえて、住宅購入を考える上で大切だと思うことをお伝えします。
何でも盛り込むと失敗する可能性が高い
一生に1回の場合が多い住宅購入。しかも一度に動くお金は人生で一番大きいものになります。色々な夢や希望をもって検討を進めていくことになるでしょう。その気持ちは十分わかりますし、できればそれを叶えて欲しいと思います。
でも多くの方は「予算」という壁に阻まれてしまいます。そんな時に「何を諦め」「何を選択するか」を間違っている方を多く見ます。というのは、自分たちは家に何を求めるか、どんな生活を送りたいか、という考え方が抜けているように思えるからです。それが本来スタートではなかったでしょうか。
自分にとって重要な条件が何で、妥協できるところ(自分でどうにかできるところ、そもそも必要と思わなかったところ)は何か、切り分けることが重要です。