就職活動に励む多くの学生は大手有名企業を目指すが、大手ならば、有名ならば安定しているかといえば、そうでないことは歴史が証明済み。せっかく大手有名企業の内定を取ったものの、その会社が破綻してしまい、内定を失った学生はどうなるのか?
資格のない従業員が出荷前検査を行っていた日産自動車や、アルミニウム製品の性能データ改竄が明るみになった神戸製鋼など、大企業の不祥事が相次ぐなか、それらの会社に内定した学生たちも不安にかられているようだ。ネット上には神戸製鋼の内定を取っていた学生から、「このまま神戸製鋼に入るべきか、もう一度就活を始めるべきか」という悲痛な叫びも上がっており、同情の声が寄せられている。
日産自動車や神戸製鋼の場合、今後の展開はさておき会社も存続するだろうが、会社自体がなくなってしまったのが、1997年に経営破綻した山一證券だ。かつては野村、大和、日興とともに4大証券会社と呼ばれた山一だが、一部顧客への損失補填、総会屋への利益供与、簿外債務の存在など、不祥事が次々と発覚。同社の内定をもらっていた学生は行き先を失った。当時の内定者たちはその後、どんな人生を歩んでいるのか。
国立大学の経済学部に通っていた男性・Aさん(現在は43歳)は、金融業界への就職を志望していた。とはいえ、学生時代の成績はあまり芳しいものでなく、1浪プラス1留のAさんは都銀の入社試験で全滅。そこで、狙いを証券会社にシフトし、唯一内定がもらえたのが山一だった。山一破綻で内定先を失ったわけだが、意外なことに当時、あまり焦りはなかったという。Aさんが語る。