過熱感を警戒する声も一部にあるが、日経平均株価が割安かどうかを見る指標のPER(株価収益率)は21年前の約38倍に対し、現在は14倍台と依然、割安な水準にある。こうした状況から〈いよいよ「2万円の壁」を突破して、新たなステージに入っていく〉(野村アセットマネジメント)と、資産運用会社も上昇余地があると見込んでいる。
マーケットアナリストの平野憲一氏(ケイ・アセット代表)は、「現在は世界的な金融緩和がもたらす『金融相場』と、企業業績が好調なことから株が買われる『業績相場』が同時に発生している」としたうえで、こう予想する。
「2015年6月までの上昇相場では、日経平均が3年間で約1万2000円上がった。現在の上昇をその前例に当てはめれば、来年には2万5000円超、2019年の年央までに3万3000円もあり得ると見ています」
この株高は一過性のものでないとするのは、真壁昭夫・法政大学大学院教授である。
「日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式を買い支える構図が加速している。さらに金融庁は今年3月に『顧客本位の業務運営に関する原則』を公表し、金融機関に改善を求めるなど投資環境の整備も進めている。いわば“官製”で株高環境を作り上げている状態にある。一方で政府・日銀は今後も低金利維持によるインフレ政策を続ける方針なので、“貯蓄よりも投資”という状況が色濃くなっていくでしょう」
※週刊ポスト2017年11月3日号