投資信託(投信)の状況が変わりつつある。今年4月に森信親・金融庁長官は、手数料ビジネスで稼ぐ金融機関の体質を厳しく批判した。それを受けて投信の手数料を引き下げる運用会社が増えている。
さらに、2018年1月から始まる「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」では、「毎月分配型などを前提としておらず、販売手数料がゼロで信託報酬が低いもの」という厳しい条件で絞り込まれた投信のみが投資対象となっており、そのことも手数料引き下げ競争に拍車をかけている。
このように政府の方針で手数料が安い投信が増えるといった制度的な「追い風」に加え、投信には「今後待ち受ける逆風」に対応できる強みがあるという。
低金利下では貯蓄したとしても資産は増えず、インフレによる支出増ばかりがのしかかる。また、2年後に迫る消費税引き上げは家計負担を増大させる一方で、その財源は子育て政策に回される。
「増税とインフレというダブルパンチの中で、節税効果の高い投信市場は高齢者層にとって数少ない減税メリットを得る機会と考えられる」(ファイナンシャル・プランナーの深野康彦氏)