世の中、何かと悲観論が溢れている。衆院選前には安倍政権の不支持率が支持率を上回るなど、政治不信は高まる一方だった。現在はあの「いざなぎ景気」を超える景気拡大局面にあるといわれても、給料も消費も上がる気配はなく、「実感なき景気回復」と表現する方がしっくりくる。日産、神戸製鋼と有名企業で不祥事も相次ぎ、日本の強みだったはずのモノづくりの信頼性まで問われた。
しかし、「経済の先行きを映す鏡」といわれる「株価」は、そうしたネガティブ要因を視界に入れないかのような値動きを示している。
早期解散説が浮上した9月中旬以降、株価は上昇局面に転じている。日経平均株価は9月19日に2万円台を回復、10月13日には2万1000円を突破し21年ぶりの高値圏で推移。敵失で自民党が大勝した開票日翌日には、日経平均が史上初の15連騰を記録し、かつてのバブル期も高度成長期も凌駕する戦後最長記録を更新し、翌24日には16連騰を達成した。
なぜこんなに上がり続けているのか。外資系証券会社の調査部長などを歴任した玉川大学経営学部の島義夫・教授は、「外国人投資家が東証の売買代金の約7割を占め、彼らの動向が日本株を大きく左右するので、まずその見方を見極める必要がある」として、こう解説する。
「9月3週まで9週連続で日本株を売り越していた外国人投資家は9月4週から買い越しに転じた。その最大の要因は為替と米国株の動向です。特にヘッジファンドなどの短期筋は超高速取引を駆使して、円安に振れると自動的に日本株を買う。北朝鮮との緊張の高まりが遠のく中、ただでさえ好景気の米国株が買われ、有事の円買いも鳴りを潜めています」