海外の年金マネーなどの長期筋にとっては「政権の安定感」が重視され、日本国内では懸念材料と見なされがちな「安倍1強」もむしろ買い材料だという。
「長期で投資する海外の機関投資家は、アベノミクスによる構造改革が進まないことへの失望感から買い控えていたが、衆院選で自民党優勢が伝わると、長期安定政権に対する期待感が高まり、買いに転じている。海外の機関投資家は、加計問題にしてもそれが首相への忖度かどうかに関心はない。岩盤規制を崩す構造改革の一環として、むしろ長期的な買い材料につながっています」(前出・島教授)
日本人には意外に映るかもしれないが、不安定な政権基盤こそが「株価ストッパー」であり、それが外れたことで、外国人の日本株買いが進んでいるという指摘だ。
意外なことはまだある。「過去最長の16連騰」といっても、日本株は世界的に見て「割安」の状態にある。
米国を代表するニューヨークダウ、新興企業が集まるナスダック、ドイツのDAX指数などが過去最高値を更新し世界的な株高が続いているが、「日本株はまだ出遅れており、依然として割安感がある」と世界の株式市場に詳しい戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)は指摘する。
「株価の割安性を示すPER(株価収益率)で見ても、日経平均の予想PERは16連騰を記録した24日時点でも15倍台。ニューヨークダウの約19倍、ナスダックの約24倍などと比較してもまだまだ割安で、世界的にも上昇余地が大きい」(戸松氏)
かつてない長さの上昇相場に過熱感を警戒する声もあるが、株高に沸く海外に比べまだまだ「余力を蓄えている」という評価なのだ。
※週刊ポスト2017年11月10日号