だが、「熱狂」を伴ったこれまでの株価急騰局面とは異なり、今回の16連騰の上げ幅はわずか1400円ほどにすぎず、急騰とも暴騰とも表現できない。いわば緩やかに上昇し、下値を徐々に切り上げながら、気づいた時には手堅い上昇を見せていた、というのが特徴でもある。マーケットバンク代表の岡山憲史氏の見方だ。
「バブル前半の1987年1月を基準にすると、ニューヨークダウは1900ドルから2万3000ドル台へと約12倍にまで上昇しています。日経平均が21年ぶりの高値更新といっても、過去最高値である1989年末の3万8915円の半値水準です。世界中の株価指数が過去最高値を更新する中、日経平均だけが更新していない方がむしろ不思議な状況です」
世界の株式市場に詳しい戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)も「世界的な株高は、ムードではなく、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、EV(電気自動車)といった実体経済の技術革新に裏打ちされたもの」として、次のように予想する。
「日本企業がバブル期を上回る利益を叩き出す中、日経平均2万1000円台は通過点にすぎない。米国経済の好調で来年に1ドル=120円台の円安となれば、日経平均も来年には3万円が視野に入り、再来年には過去最高値を更新して4万円を超えてもおかしくないでしょう」
※週刊ポスト2017年11月10日号