財務省は衆議院選挙の投開票翌日(10月23日)の政府税調の総会に、満を持して60ページにのぼる所得税改革の説明資料を提出した。そこには、サラリーマン、年金生活者など低所得の非課税世帯まで国民に広く網をかける所得税の増税メニューがズラリ並んでいる。
所得税増税の第一のターゲットはサラリーマンだ。政府税調の増税メニューには「給与所得控除」の廃止・縮小の検討が盛り込まれている。
これはスーツやワイシャツなどサラリーマンが給料の中から負担している金額を“必要経費”とみなして控除する仕組みで、現行では収入のざっと2~3割が控除(非課税)されている。
もともとは、給料から税金を源泉徴収される会社員は自営業者や農家などに比べて収入の捕捉率が高く、クロヨンやトーゴーサン(*注)という批判を浴びてサラリーマンの控除が拡充されてきた経緯がある。
【*注/課税対象となる所得の捕捉率。給与所得者(サラリーマン)は9割、自営業者は6割、農業、林業、水産業従事者は4割というほど差があることから「クロヨン」、さらにそれを10割、5割、3割と見る場合は「トーゴーサン」と呼んだ】
しかし、財務省は政府税調の会議で「控除が過大すぎる」と主張した。
〈財務省は働き方が多様化している中、会社員だけが恩恵を受ける仕組みは時代に合わなくなっているとして、給与収入が高い人を中心に「給与所得控除」を縮小し、会社員でない人も控除を受けることができる仕組みに見直すべきだと提案しました〉(NHKニュースウェブ10月23日)