大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

日本企業が元気だった時代の経営者は「質問する力」があった

かつての日本企業の経営者が持っていた「質問力」とは(大前研一氏)

 日本企業が元気だった時代の経営者には、ある特徴があったと経営コンサルタントの大前研一氏は言う。オムロン創業者の立石一真氏、京セラの稲盛和夫氏、パナソニックの松下幸之助氏らが共通してもっていた「質問する力」について大前氏が解説する。

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 50年以上も前に現在のIoT/IoE(*)の本質を理解し、サイバー社会の到来を予見していた経営者に、オムロン創業者の立石一真さんがいる。立石さんは、私に質問を重ねながら自分の頭の中のイメージを「見える化」していったわけだが、そこで重要なのは「質問する力」である。

【*IoE(Internet of Everything)/「すべてのインターネット」と訳される。パソコンやスマホなどのIT機器にとどまらず、日用品など様々なモノがインターネットにつながり情報を送受信する仕組みをIoT(Internet of Things=モノのインターネット)と呼ぶが、IoEは、モノだけでなく施設やサービスなども含めた概念とされる】

 質問は、イノベーションの源だ。現状に対して問題意識を持っていたり、疑問や不満を感じていたりしなければ質問はできない。質問しないと考えは進まないから、答えも出ない。つまり、質問して初めて問題の解決策が見つかるし、新しいアイデアも生まれるのだ。

 日本企業が最も元気だった時代は、この「質問する力」が経営者にあった。代表的な例が、センシング技術を基にオートメーション機能機器を次々に開発した立石さんや、ファインセラミックス技術で部品産業を変えた京セラの創業者の稲盛和夫さんだろう。

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