仮想通貨・ビットコインの「分裂」が相次いで起こっている。2017年8月には分裂の結果、新たな仮想通貨「ビットコインキャッシュ(BCC)」が誕生、10月にも「ビットコインゴールド(BCG)」が誕生している。今後もさらなる分裂の可能性が指摘されているが、なぜビットコインは分裂するのか。フィスコデジタルアセットグループ代表取締役でビットコインアナリストの田代昌之氏が解説する。
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政府や中央銀行が管理する法定通貨と違って、公的な管理者がいないビットコインでは「マイナー(採掘者)」と呼ばれる民間事業者が手数料を得て送金などの取引データをネット上の台帳に記録し、取引が承認される。マイナーは取引履歴を約10分に1回ごとに1つのブロックに格納するためのデータ処理作業を、多大な電気代を消費しながら競争し合って行なっている。
ビットコインの分裂騒動の要因は、この1ブロックのブロックサイズ(データ許容上限)の規格を拡張するか否かの対立にある。ビットコインをマイニングすることで得られる報酬は約4年に1度ずつ半減していくように設定されているので、マイナーにとっては今後ますます取引手数料の額が重要になる。ブロックサイズを大きくすることは、マイナーが得られる取引手数料がその分上がることを意味するため、このような対立が起こるのだ。
実際、8月にはマイナー間の対立から、中国に拠点を持つ民間事業者のグループがビットコインから枝分かれしたビットコインキャッシュを誕生させた。さらに、10月24日に香港に拠点を置くマイナーによる新仮想通貨「ビットコインゴールド」の分裂作業が始まっている。