2018年卒業予定の大学生のうち、企業の内定を辞退した「内定辞退率」が64.6%になったとリクルートキャリアが発表した。「売り手市場」を表す数字だと話題になったが、1990年代後半の「就職氷河期」時代に就職活動を経験したネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「びっくりしましたが、いいんじゃないですか? だってこうした『選り好み』ってこれまで企業が学生に対してやり続けてきたことでしょ?」と感想を述べる。そして、学生が選べる時代になったのは良いとしつつも、氷河期時代の女子学生が置かれた状況はあまりにも苦しかったと振り返る。
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私は1996年に就職活動をし、1997年に博報堂に入社しました。同社は2000年代以後、100人以上採用することが多いですが私の年は総合職66人、一般職13人でした。総合職は男性61人に対し女性は5人、一般職は全員女性でした。
こういった状況下の就活では、「売り手市場」なんて言葉はあり得ませんし、特に女子学生の苦境ったら……! という状況にありました。当時の大学生の就職活動は今のようにウェブでエントリーをするという方式ではありませんでした。
3年生の冬にリクルートから「リクルートブック」というタイトルの分厚い冊子が送られてきます。他の就活関連の業者からも同様の冊子は来ていました。ここには、様々な会社の紹介と資料請求用のハガキがついています。気になる会社のハガキをミシン目から切り取り、そこに必要事項を書いて送るのですね。人気企業の場合は切手を貼る必要があったのですが、それほど人気のない企業は「料金後納郵便」にて無料で送ることができました。