ピンク色のかわいらしいパッケージが印象的な保湿剤・ヒルドイド。「我々は、人類の健康に対して、質の高い貢献を行うことを使命とする」──これはヒルドイドを製造する企業の経営理念である。だが、作り手側の思いとは裏腹に、この薬が人々の健康を害しかねない問題を生んでしまっている。
「もしヒルドイドが保険適用外になってしまったら、患者さんが全額負担になってしまいます。そうなれば、この薬を本当に必要とする患者さんに届かなくなってしまうことを憂慮しています」
こう嘆くのは保湿剤「ヒルドイド」を製造する製薬会社・マルホ株式会社の広報担当者である。
ヒルドイドは「アトピー性皮膚炎」や皮膚の表面の脂が減って乾燥が起きてしまう「皮脂欠乏症」といった重度の乾燥肌の人に処方されるクリームやローション状の保湿剤。月齢によって皮脂量の変化が大きく、肌が乾燥しやすい乳児にもよく処方される。
そんな子供の肌の“強い味方”となっているヒルドイドをめぐって、大きな社会問題が起こっている。