そんなYさん自身も、若い頃に自分が住んだ物件で失敗をした経験があるそうだ。
「自分が実際に住んで大失敗だったのは、大病院の近くです。その頃、子どもが生まれたばかりで、引っ越し先を探す際、妻に『病院が近いと安心だから』と言われ、その物件を選びました。しかし、昼夜を問わず救急車が頻繁に通るうえ、すぐそばには消防署もあって、消防車もしょっちゅうサイレンを鳴らしながら通るので、あれには閉口しました。緊急自動車のサイレンは、何度聞いても慣れることがありません。2年半ほどで引っ越しました」
病院に近いのはアピールポイントのひとつになりそうなものだが、場合によってはデメリットになることもあるということ。そしてYさんが見た物件の中で「最も耐え難かった」というのが、高速道路の目の前に立つマンションだったという。
「高速道路に面して建てられるマンションは、大抵、厚めのサッシが採用されています。少なくとも最近建てられたマンションは、間違いなくそうです。そのマンションもそのような仕様になっていたのですが、高速道路というだけでも騒々しいのに、目の前に高速道路の“継ぎ目”があって、車が1台通る度に『カターンッ!』という通過音がするのです。その場所は交通量も多く、深夜でもトラックの行き来が絶えない場所。住んでみるまでわからかったのでしょうが、あそこに住んだ人は地獄だったと思います……」
そのマンションは、都心から近い上、駅からも近かったため、あっという間に売り切れたのだそうだが、「あれは辛いと思いますよ」と語るYさん。やはり目に見えないトラップは、色々な所に潜んでいるようだ。