「大学を卒業後、大手飲食店チェーンに就職しましたが、初めて配属されたのが、全国でもトップクラスの“ヤンキーの客が多い店舗”だったんです。面接の時に、『君は空手部だったね?』と何度も念を押されたのはこういう理由だったのかと、後々知りました(笑い)
私は、見た目は相変わらず“メガネのチビ”のままだったのですが、大学で4年間、みっちり体を鍛えましたし、とにかく恐い先輩だらけだったので、ヤンキーぐらいではまったくビビらないようになっていたんです。バイトの学生にも最初はナメられますが、ヤンキーがクレームをつけてきてもまったくビビらない所を見せると、あっという間にバイトの言葉遣いが変わりました」
面倒臭い店舗を上手く切り回したことで、一躍幹部候補生に名乗りを上げたものの、将来への不安から脱サラし、猛勉強の末に会計士になったHさん。大学卒業後は、趣味も空手からキックボクシングへとスイッチしたそうだが、格闘技は、ビジネスにどう役に立っているのか?
「大手企業同士のやり取りではあり得ないでしょうが、私のように個人事業主として色々な中小企業や個人のクライアントと接していると、口調、態度、表情などで威圧することで、ディスカウントを要求してきたり、自分に有利な条件を引き出そうとしたりするケースも多いんです。そんな時でも、私には格闘技経験があり、“いざ”となったら絶対負けない自信があるので、精神的にとても余裕を持って臨めます。もし格闘技をやっていなかったら、怖くて引き下がったり、不利な条件を呑んでしまったりすることもあったと思います」