相続税の申告(納付)期限は死後10か月。控除額以上の遺産があるのに相続税が「未申告」だったり、申告漏れが疑われる場合は事前に銀行に預金の照会をかけるなど、1年ほどの期間をかけて調査対象をじっくりと絞り込む。
だから相続人に対する「臨宅(りんたく)調査」の通告まで死後2~3年もかかり、通告があれば、かなりの確率で加算税付きで相続税を追徴課税されるのだ。
問題は、税務調査が入るまで“まさか相続税がかかるなんて”と知らなかったケースが多いことだ。前出の武田氏が指摘する。
「相続税は源泉徴収ではなく、相続人が申告納税しなければならない。ところが、2015年の法改正で課税対象が広がると、その仕組みを知らずに、本当は申告しなければならないのに税務署から通知が来ないから相続税はかからないのだろうと思い込んで申告しないままのケースが非常に多い。
当然、税務署もそうなるだろうと想定しているから、無申告の調査を強化しています。たとえ故意の非違(ひい)でなくても、無申告の場合は本来の相続税額に10~15%の加算税が上乗せされます」
まさに忘れた頃にやってくる重加算税なのだ。
※週刊ポスト2017年12月8日号