「今年、貯蓄はいくら増えたか(減ったか)」「昨年に比べて支出はいくら増えたか」そんな問いに即答できる人は多くはないだろう。年末を迎え、1年間の「お金の出入り」を振り返るとき、どんな観点に注意すべきなのか。ファイナンシャル・プランナーの清水斐氏が解説する。
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年末調整をはじめ、今年1年の収支を振り返るのにふさわしい時期になりました。とはいえ、他人と貯金を比べるわけにもいかず、どのような視点で「お金」と向き合うべきかわからないという人も多いと思います。
年代や家族構成によって、その視点は異なります。今回は20代独身のケースで、どんな点を重視すべきかを紹介しましょう。
源泉徴収票の見方、税金について知っておく
会社から源泉徴収票を受け取って、しっかり見たことはありますか。額面の年収のみ確認しているけれど他の項目はさっぱり、という方も多いのではないでしょうか。税額などを見ると目をそらしたくなるという声もよく耳にします。
天引きされているとはいえ、自分が頑張って稼いだお金は何のために引かれているのか、しっかり知っておきましょう。社会保険料は金額が高いですが、貯蓄的要素(年金保険料)、保障的要素(健康保険料)など、自分のための資産として返ってくる面もあります。特に、生命保険に加入すべきかどうかは、こうした公的な保険がカバーする範囲を知った上で、不足がある部分で十分です。20代で独身の方は「社会人になったから」というだけの理由で保険に加入するケースがありますが、過剰な保険は必要ありません。
また、源泉徴収票から計算すれば、自分の手取り収入がわかります。それに加えて、通帳の残高を見て、去年の同じ時期とどのくらい変化しているかで「年間支出」がわかります。収支がどうなっているか、どれだけ貯蓄が増減したかを見て、「身の丈以上」の支出をしていないかチェックしてみましょう。