シニアの幸福度について調査したカルチャースタディーズ研究所の三浦展・代表は、著書『下流老人と幸福老人』の中で、〈1人暮らし男性は子供や孫が幸福につながらない〉と指摘している。
1人暮らしの高齢女性にとっては、離れて暮らしていても、子供や孫の存在が幸福度アップの大きな要因になるが、1人暮らしの高齢男性は、子供や孫がいても必ずしも幸せではなく、むしろ、孫がいない人の方が幸福度が高いという分析だ。
内閣府の幸福度調査からもその理由がわかる。60~70代女性の場合、「孫の面倒をみている時」に生きがいを感じる割合が非常に高いが、同世代の男性は「孫の世話」より、「趣味に熱中している時」や「友人との食事や雑談」に生きがいを見いだしている人の割合がはるかに高いからだ。
前出の三浦氏が行なった調査では、ほかにも興味深い実態が分かる。シニア女性が友人の数で幸福度が上がるのに対し、男性は人数との相関関係が少ない。つまり、量より質なのだ。具体的には、学生時代からの友人がいるかどうかは幸福度に大きく影響するが、今の職場の友人は影響しない。現役時代であれば、職場の人間関係こそが最重要だったはずが、大きな転換を迫られることになるわけだ。