さらに得られるはずのお金を捨てているだけでなく、さまざまな「理不尽」に囲まれているという。
「日本の専業主婦は、“家事”をする女性ではなく、“子育て”を専業にする女性です。日本は結婚前こそ男女平等なのに、子供を産んだ途端に女性が差別を実感する社会になっている。専業主婦は子育ての責任を全て押しつけられたうえ、少しでも子供の成績や素行が悪ければ『あそこは専業主婦なのに』と責められます。そして責められたくないがゆえに、塾や習い事など、無駄なお金を使ってしまう。しかもお金を稼ぐ夫とは上下関係になるため、逆らえず、鬱屈してストレスを抱える」
デメリットばかりが強調される専業主婦だが、もともと日本では外で働く夫の代わりに家を守り、夫に献身的に尽くす専業主婦は「良妻賢母」だと礼賛されてきた。
実際、古くは山口百恵さん(58才)、最近では堀北真希さん(29才)が結婚とともに現役を引退して家庭に入ったことは、美談として伝えられた。冒頭の主婦も日本古来の、この考え方から苦悩するようになったのだろう。だが、橘氏は真逆の考え方を提唱する。
「日本では“専業主婦批判”が一種のタブーですが、女性が出産や結婚を機に専業主婦になるのは先進国で日本だけ。海外でも1970年代までは『男が働き、女が家を守る』が主流だったが、現在は既婚女性が働いてお金を稼ぐのは当たり前で、初対面の人の前で『私はハウスワイフ(主婦)です』と自己紹介すると白い目で見られるほど」
世界的な少子高齢化のなか、「夫の年金が夫婦の老後を支える」というモデルは完全に崩壊したと橘氏は強調する。
「専業主婦が成り立つのはほんの一部のセレブだけで、女性も働いて稼がなければなりません。夫と力を合わせて働けば夫婦の生涯年収は5億~6億円にもなります。自分で稼げる2億円をドブに捨てて、『お金がない』と愚痴をこぼしながら宝くじ売り場に並んでいる主婦を見ると『目を覚まして!』と思います」
※女性セブン2017年12月21日号