人生100年時代、40才から働き始めて80才まで働いたとして、年収200万円でも8000万円稼げる。専業主婦として長い間過ごしてきた人からは、「今さら働けない」との声も聞こえるが、橘氏は、「主婦だからこそチャンスがある」と言う。
「日本企業の特徴は、正社員が定期的に異動することです。しかし、契約社員やパート社員なら異動もなくずっと同じ部署にいられるので、そこで経験を積んで技術を磨けば、その道のスペシャリストになれます。雇用側としても貴重な人材は手厚く扱います」
しかも最近は“主婦のシューカツ”に追い風が吹く。人手不足に悩む企業が主婦の採用を強化しているのだ。
たとえば、ファミリーマートやセブン-イレブンなどコンビニ各社は、主婦向けの採用説明会やクルー(従業員)体験会を実施している。牛丼チェーンのすき家が従業員向けの保育所を設置するなど外食産業も主婦採用に積極的だ。
さらに今後は、女性の方が男性より有利な仕事が増えると橘氏が言う。
「女性は男性よりも、周りの人たちが何を欲しているかを察知する『共感力』が優れています。この先、AIロボットなどのテクノロジーが進歩すればするほど、女性が得意とする『共感的な仕事』が必要とされるはず。たとえば看護や介護は、高齢化と相まって主婦が活躍できる分野です」
もちろん専業主婦も“立派な仕事”であり、自宅で子供とともに夫の帰りを待つのが“幸せ”と感じる女性が多いのも事実である。だが、時代の流れとともに専業主婦が生きにくい世の中になってきていることも、また事実だ。