自民党が先の衆議院選挙に勝利すると、この機を逃すなと財務省はマスコミを動かして増税キャンペーンを張り、いまや政府・自民党は“選挙は当面ないから国民の顔色は気にしなくていい”とばかりに増税にひた走っている。
著名な経済学者たちもそれを後押ししている。財務省財政制度等審議会の前会長、吉川洋・東大名誉教授と山口廣秀・元日銀副総裁は『低迷する消費』と題するレポートを発表し、“消費低迷の理由は将来不安。不安を払拭するには税・社会保障のプランの明示が必要”と説き、増税論者のバイブルとなっている。
そんな中、内閣官房参与を務める首相の経済ブレーン、藤井聡・京都大学大学院教授が同氏の研究室の実験をもとに「消費税率10%への引き上げは国を滅ぼす」と声をあげたのだ。
藤井氏の研究室は、全国の男女100人ずつ、計200人を対象に実験を行なった。被験者に増税後の消費税率をさまざまに変えながら、欲しい商品を「絶対に買う」から「絶対に買わない」まで9段階に分けて回答させ、税率の「数字」の印象によって購買意欲がどう変化するかを調べたのだ。
実験の結果、予想通り、消費税率が10%になれば増税に対する『心理的負担感』が格段に大きくなり、前回の8%増税時の1.5倍の消費縮小効果をもたらす。とくに女性に限れば、その『心理的負担感』は2~3倍程度にまで拡大し、激しく『買い控える』ことが示されたというのだ。そして、こう提言した。
〈「10%」増税は、巨大な消費低減効果を持つ。とりわけ女性に対する影響は極めて甚大〉