内閣官房参与という“総理の政策顧問”がそんなムードに水を浴びせるように増税反対を唱えたのだから、藤井氏の発言は一歩間違えば“官邸不一致”に見える。経産省の中堅官僚が語る。
「今回の増税公約を振り付けたのは財務省だ。これまで2回、安倍総理に消費税増税を延期されて煮え湯を飲まされた財務省は、モリカケ疑惑で内閣支持率が低下したのをチャンスと見て、“予定通り消費税を10%にすれば、その税収を教育無償化に回し、選挙を有利にすることができます”と総理に持ちかけて増税を飲ませた。
選挙には勝ったものの、官邸内には増税で景気を冷やすのではないかという懸念が根強い。そこに財務省を牽制するような藤井参与の増税反対論が出たのは、官邸との“あうんの呼吸”があったのではないか。政府の方針に背く藤井氏が叱責されたという話もない」
叱責どころか、首相動静によると、藤井氏は総選挙から3日後の10月25日に官邸で安倍首相と会談している。実験結果をもとに「増税凍結」を説いたとみるのが自然だろう。どんな話をしたのか。
「守秘義務があるので内容はいえませんが、少なくとも成長のためには延期が望ましいとお考えではないかと想像します。選挙中のご発言を踏まえても総理も官邸内も現段階で“絶対に増税する”と確定しているわけではないと私は思う」
藤井氏はそう語ったうえで、「しかし、著名な経済学者の方々が、“消費を回復するために増税すべき”という恐ろしく倒錯した論理を示唆されていることには、これからも根拠薄弱で不当な主張だと指弾し続けていく」と、増税批判の矛を収めるつもりはない。