実際は、その間に世界のどこかでイノベーションが起こり、業態を一掃する。その敗北の歴史が我々の国の2000年代でした。本当は敗北しているのに、古くからある「映像の世紀」のビジネススタイルとして、発信者とフォロワーを分けることで搾取の枠組みを作る。その結果、生まれたのが「意識だけ高い系」なのです。
たくさんの違った常識を持つこと。複数のオピニオンリーダーの考え方を並列に持ちながら、自分の人生と比較し、どれとも違った結論に着地できないか、常に考えること、そういう頭脳の体力が大切です。
◆おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大准教授、学長補佐。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定スーパークリエータ。BBC、CNN、TEDxTokyoをはじめ、メディア出演多数。超音波を使って物体を宙に浮かせ、三次元的に自由自在に動かすことができる「三次元音響浮揚(ピクシーダスト)」で、経済産業省「Innovative Technologies賞」を受賞。2015年には、米the WTNが世界最先端の研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」(ITハードウェア部門)において日本からただひとり、最も優秀な研究者として選ばれた。〈現代の魔法使い〉の異名を取る。
※落合陽一・著『これからの世界をつくる仲間たちへ』より