だとすると、人生を考える際には大きく分けて2つの基本方針があります。
「時間を切り売りしてお金を稼ぐ」のか。それとも、「自由に使える時間を手に入れる」のか。
どちらを選ぶかはそれぞれの価値観次第ですが、少なくとも僕は後者が自分にとって幸せな生き方だと考えて、いまの仕事(研究者)を選びました。
たとえば医師や弁護士は、お金を稼ぐには良い職業でしょうが、自由に使える時間はほとんどありません。でも大学の教員は、講義や会議以外の時間をかなり自由に、研究するのに使えます。
ただし、それは「余暇」がたくさんあるということではありません。「余暇」が欲しいなら、むしろ時間を切り売りするほうを選ぶでしょう。そちらを選んだ場合、時給を上げることができれば余暇は増えます。逆に、時給の低いブラックな仕事だと、余暇はなかなか得られません。
このように、時間を切り売りする仕事を選ぶと、人生は「お金を稼ぐ時間」と「休む時間」に分かれます。すると、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」を考えざるを得ません。これは文字どおり「仕事と生活の調和」を意味する言葉で、ビジネス書にもよく出てきます。そのバランスが「ワーク」のほうに偏ると幸福な人生にはならない、と考える人が大半でしょう。