でも、それは万人に当てはまる考え方ではありません。ワーク・ライフ・バランスが問題になるのは、「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしていないからです。解決したい問題がある人間、僕だったら研究ですが、そういう人は、できることなら1日24時間、1年365日をそれに費やしたい。
だから僕は、時間を切り売りしてお金を稼ぐのではなく、自由な時間をより多く得られる仕事を選んでいるわけです。ワーク・ライフ・バランスなんて考えたこともないし、その概念自体が僕には必要ありません。
◆おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大准教授、学長補佐。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定スーパークリエータ。BBC、CNN、TEDxTokyoをはじめ、メディア出演多数。超音波を使って物体を宙に浮かせ、三次元的に自由自在に動かすことができる「三次元音響浮揚(ピクシーダスト)」で、経済産業省「Innovative Technologies賞」を受賞。2015年には、米the WTNが世界最先端の研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」(ITハードウェア部門)において日本からただひとり、最も優秀な研究者として選ばれた。〈現代の魔法使い〉の異名を取る。
※落合陽一・著『これからの世界をつくる仲間たちへ』より