田代尚機のチャイナ・リサーチ

AI先進国の中国、国家主導でさらなる発展を目指す計画

 企業の自由で活発な経営活動の中からイノベーションが進むというのが原則だが、そうした環境が整うよう国家が旗振り役となって業界全体をまとめ上げ、オールチャイナで大きく成長できることを目標に国家が全面的なサポートを行っているといえよう。

 中国は現段階においても、人工知能の分野でアメリカと並び、最先端に位置しているのではなかろうか? 今回、中国語の資料を翻訳していて英語は出てくるがそれに対応する日本語がなかなか出てこない。日本はこの分野で遅れていると言わざるを得ない。

 既に、技術的に最先端に近いところに位置する中国が、国家を挙げてこの分野の発展をサポートしようとしている。しかし、そこには予算の話など全く出てこない。こうした戦略に必要となる資金は、国家予算、地方予算が負担するというよりも、グローバルにみても規模の上で圧倒的に大きい中国の国有銀行が積極的にサポートし、それで足りなければ資本市場から調達させる。経済主体が共産党の示す方向に一丸として動くことで大きな発展力が生まれている。経済発展の観点から見ると、中国の社会主義市場経済体制は強力である。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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