公的年金の受給開始年齢は原則65歳で、60~70歳の範囲で選択できるのが現行制度だが、これを5歳引き上げて「原則70歳受給開始」とする議論も現実的になりつつある。そうなれば多くの日本企業が採用している60歳定年制(希望者は65歳まで継続雇用)も併せて見直されるはずだが、いずれにせよ年金が受給できる70歳まで働かなくてはならない時代が訪れようとしている。
「安倍政権は『一億総活躍社会』や『働き方改革』など聞こえのよい政策を掲げていますが、要は高齢者も主婦も“みんな働け”と迫っているのが本音です」とファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)はいう。
2015年に7728万人だった生産年齢人口(15~64歳)は、2030年までに7000万人を割り込むと予想されている。ただでさえ人手不足とされるなか、働き手は減る一方であり、高齢者や女性の社会進出を促して労働力率を上げることは喫緊の課題なのである。
そこで考えなくてはならないのが、「70歳までできる仕事」だろう。たとえば65歳まで継続雇用されて手取り240万円(月給20万円)を受け取っていた場合、その後もそれと同等の収入を得られるような仕事はあるのか。