公的年金の受給開始年齢を現行制度から5歳引き上げ、「原則70歳受給開始」とする議論が高まりを見せている。老後の生活を大きく変える制度変更だが、それが現実のものとなれば、人生の中で働く時間が、従来のように60歳までの約40年間ではなく、「70歳までの約50年間」へと大きく変わろうとしているのだ。
仕事人生が50年へと延びる時代に向けて、何をどうすればいいのか。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)が指南する。
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まず考えてほしいのは、年金受給開始年齢の後ズレが影響してくる可能性が高いのは、いまの30代以下の若い世代ということ。そういうと、「世代間格差があって不公平だ」といった不平や不満が聞こえてきそうですが、嘆くばかりでは何も進みません。幸いにも、若い世代には時間があります。来る「70歳受給時代」に向けて、少しでも豊かな老後を迎えられるようにどう働いていけばよいのか。そのためのキャリアプランをいまから考えていけば、まだまだ間に合うはずです。
ほとんどの仕事にいえることですが、10年、20年先の姿を思い浮かべるのもなかなか難しいなか、50年間働こうとすれば、先行きはどうしても不透明になります。将来的にAI(人工知能)に取って代わられるような職種というのも最近よく聞かれるようになっており、不安は増すばかりかもしれません。
また、景気や企業の業績は浮き沈みがあり、いまは“花形”に思える会社が、いつまでもそうあり続けるものではありません。そうしたなか、50年間、ひとつの会社で働き続けようとするのは、なかなか至難の業でしょう。