総量規制の枠を超えて借りることは困難
そもそも、総量規制が実施された背景には、ローンによる多重債務者が社会問題となったことがある。そこで、多重債務者を減らすため、年収を基準にして借入限度額を設定したわけだ。しかし、銀行カードローンの存在が、総量規制を形骸化させてしまった。実際、2016年の個人の自己破産件数は前年比1.2%増の6万4637件と13年ぶりに増加し、要因のひとつとして、銀行カードローンの貸付残高の拡大が指摘されている。
こうした状況を早くから問題視していたのが、日本弁護士連合会である。2016年9月、政府や全国銀行協会などに、「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を提出。これを機に、銀行カードローンの規制する機運が高まることになった。
2017年に入り、一部の地方銀行は、カードローンへの社会的な批判に応える形で“自主ルール”として、総量規制の導入に動く。貸金業者からの借入残高を考慮して、融資を審査することにしたのである。同時に、「年収証明書不要」「審査迅速」といった借り入れを促すような広告・宣伝も自粛していく。
そして、ついにというべきか、2017年10月、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3大メガバンクが、個人向けカードローンの融資限度額を借りる人の年収の2分の1あるいは3分の1までとする自主ルールを導入することになる(日本経済新聞10月19日付より)。この段階で、事実上、総量規制の枠を超えて、銀行カードローンを借りることが非常に困難となったのである。