キャリア

還暦記者が客室清掃バイトに挑戦するも初日で敗北感味わう

55才過ぎると新しいことが大変

「早速ですが、シフトを組みますから、NGの日を言ってください。それから、初日は白いスニーカーと汗を拭くタオル。水分と軽い食料を持ってきてください」

 仕事は10時から14時半までの4時間半。昼食休憩はナシで、「みなさん、体を動かしながら、軽食をとったりしています」と、30代の面接官は電話でテキパキと指示をした後、「何か質問はありますか~? なんでも聞いてください」とさわやか。

 彼とは面接時、会議室に入って数秒後に打ち解けて、アハハ、うふふと笑っていたら、あっという間に30分が過ぎていたという人。

 愉快そうに話すので、つられて私も笑っていたけど、面白がってばかりはいられない。前に働いていたホテルで、20代から70代後半のパートたちを仕切っていたKさん(68才・女性)が、ため息まじりに言ってたんだわ。

「人は何才になっても健康なら体は動くの。でも私が見たところ、55才だね。55を過ぎると前に覚えたことは続けられるけど、新しいことを覚えるのがすごく大変になるのよ」

 ホテルの備品の配置はすべて、「ここにはこれ」と定位置が決まっている。それを48才だった私はずいぶん間違えて怒られたっけ。

 あれから12年──果たして、私はやっていけるんだろうか。

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