日本の年金財政が逼迫し、男女問わず「生涯現役」で仕事をしなければならない時代が到来している。勤務形態ひとつを見ても、正社員、契約社員、派遣社員など働き方が多様化するなか、女性が生涯稼げる賃金はいくらなのだろうか?
この問題について、大きな波紋を呼んでいるのがベストセラー『言ってはいけない 残酷すぎる真実』など多くの著書で知られる作家・橘玲氏の新刊『専業主婦は2億円損をする』だ。本のタイトル通り、金銭的な面で言えば専業主婦は生涯稼げるはずの「2億円」をドブに捨てている、とインパクトのある数字とともに紹介している。「女性の生涯賃金2億円」とはどういう計算なのか。著者である橘氏に聞いた。
「大学を出た女性が60歳まで働いたとして、平均的な収入の合計は2億1800万円になります。ちなみに退職金は含まれていません。経済学では、別の選択をすれば得られた利益を逸することを機会損失(機会費用)といいます。日本の会社は年功序列で、20代や30代前半で会社を辞めれば安月給のままですから、専業主婦になることの機会損失はおよそ2億円ということになります」(橘氏。以下「」内同)
たしかに、労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2016』によると、大学・大学院卒の女性が学校を卒業してただちに就職し、60 歳で退職するまでフルタイムの正社員を続ける場合、生涯賃金は2億1800万円となっている(退職金は含めない)。